形式的なPBLにならないために、ドラマエデュケーションがオススメな7つの理由

 対話的・主体的で深い学び(アクティブラーニング)の手法の一つとして、プロジェクト型学習(Project Based Learning、 略して PBL )の実践が広がっています。

 しかし、PBLに限らず、様々な学びの活動を実践しているけれどなかなか生徒さん達が主体的ならない、盛り上がらないことに、悩まれている先生も多いのではないでしょうか?

 生徒さん達がより主体的に活動できるPBLのために、演劇的手法を組み入れた活動である「ドラマエデュケーション」が現在、注目を集めています。
 実際に、米国カリフォルニア州サンディエゴにあるハイ・テック・ハイ(High Tech High)での教育実践を紹介する映画「Most Likely To Succeed」においても、世界史と人権をテーマにしたPBLのアウトプットとして、演劇をする生徒さん達のワンシーンがあり、PBL との親和性が高いことがわかります。


なぜ、PBLにドラマエデュケーションなのか?

 

 ドラマエデュケーションとは、「あそぶ」ことと「つくる」ことが一つになった、仲間と協力しながら五感を使って心と体で表現する学びの活動です。

 ここからは、PBLの実践ステップに応じて、どんなドラマエデュケーションの手法が活用できるのか、ご紹介します。


*プロジェクト活動の計画*

 生徒さん達の日々のモヤモヤや気になるテーマをプロジェクトの問いにつなげることで、より主体的に関わりたくなるPBLの設計が可能になります。一方で、生徒さん達がどんなことに関心があるのか迷われていないでしょうか?ドラマエデュケーションの手法を取り入れることで、生徒さん達の関心事項や問いをより理解することができます。

<ドラマエデュケーションを取り入れた活動例>
・「連想ゲーム」ワークで生徒さん達の事前知識や関心をひきだす
・ある特定の生徒さんに聞いてみたい問いから、お題をプランする


*プロジェクト活動のはじまり*

 プロジェクトのスタート時点で、生徒さん達が失敗を恐れず発言したり、お互いを信頼し合う関係性が構築されていると、建設的かつ批判的にフィードバックをしあえる探究的な学びの場の素地となります。生徒さん達が自分を開き、お互いの気持ちを通わせる活動として、ドラマエデュケーションが活用できます。

<ドラマエデュケーションを取り入れた活動例>
・「フォトストーリー」ワークで多様な意見を認める
・「おもしろ旅行をつくる」ワークでお互いのアイデアを膨らませる


*プロジェクト活動の深まり*

 プロジェクトが進むなかで、他者目線から自分たちの活動や試作しているものを見つめ直すことは、プロジェクト活動をより一層深め、試作品に磨きをかけるためになくてはならないものです。ドラマエデュケーションの中心的な活動である、自分ではない誰かになりきったり、いつもとは違った役割を演じてみるワークは、生徒さん達が自ら「見方を変える」ための一助となります。

<ドラマエデュケーションを取り入れた活動例>
・「なりきり」ワークで自分ではない誰かになりきって会話する
・「ティーチャー・イン・ロール」ワークで設定をもとに演じる


*プロジェクト発表会

 プロジェクト発表会は、他の学年の生徒さん達、保護者や地域の方々など、様々な立場の方々に見てもらう「程よい緊張感」がある中で、仲間と助け合いながらこれまでの学びの成果を披露する場です。PBLのアウトプットに演劇を採用することで、生徒さん達は時間をかけて準備ししてきた劇を発表会で披露してやりきった末に、ドラマエデュケーションの醍醐味である「大きな達成感」を得ることができます。

<ドラマエデュケーションを取り入れた活動例>
・「もしも」からはじまるお題を元にお話をつくって舞台で演じる
・クラスのみんなで協力して、一つの舞台をつくりあげる


 PBLの様々なステップにドラマエデュケーションの方法を活用できることがわかります。

 そして、良質なPBLを実践するために、システム思考やデザイン思考など、様々な方法論から工夫をすることができますが、ブリッジラーニングが今回あえて「ドラマエデュケーション」をPBLに取り入れることをおすすめしたい理由は7つあります。


ドラマエデュケーションをPBLに取り入れてみるべき、7つの理由

 

伝統的に感情とは無関係と考えられていた物理、エンジニアリングや数学でも、深い理解を得るにはコンセプトとの間の感情的な繋がりを形成できるかに依存するのです。

~ “Emotion, Learning, and Brain” By Dr. Immordino-Yang



1.感情を揺さぶる体験が深い学びにつながる

 ドラマエデュケーションの核は、五感を総動員した表現活動にあります。生徒たちは、ほどよい緊張感の中で、仲間と協力しあいながら心と体を使って体感しながら学び、様々な概念や知識との感情的なつながりをつくりあげ、深い理解に到達することができます。


2.生徒たちが協力して取り組める

ドラマエデュケーションでは、自然と送り手と受け手の協力関係ができあがる「あそび」の活動をふんだんに行います。また、舞台演劇を行うときにも舞台に立つ生徒さんだけでなく、裏方をする生徒さんも舞台にはなくてはならない大切な存在。生徒たちが様々な役割を担い、協力することでドラマエデュケーションは成り立つのです。


3.生徒たちが色々な視点から考えを深められる

ドラマエデュケーションでは、問いやテーマを生徒たちの対話のなかでつくりあげることを大切にしています。「YES, AND」 を合言葉にアイデアを膨らませていく中で、自分の枠を外し、いつもとは違う目線に立って考えることが、新しい発見へとつながります。


4.生徒さん一人ひとりの個性を大切にできる

ドラマエデュケーションの劇あそびや、表現あそびのワークでは、表現の仕方に沢山の選択肢があるので、どんな表現でも正解です。どんな生徒さんでも心と体で表現できる活動は、自然と個性が生きてくる場になります。


5.生徒たちが答えのない問いに挑戦できる

創作活動に答えはありませんし、ストーリーや台本を先生が全て考える必要もありません。答えのない問いに挑戦する上で最も大切なのは、自分たちで考えたアイデアを自分たちの手でつくりあげ、自分たちで決めていくことなのです。


6.今ある授業時間の枠組みからはじめられる

毎年ある学芸会やスクールコンサートを、PBLとしてアレンジしてみませんか?文学や道徳、社会問題や歴史などの教科に組み合わせ、日々の授業で学んだことを活用することで、体験を伴う深い学びにすることができます。


7.今、学校にあるものでできる

3Dプリンターやレーザーカッター、タブレットPCがなくても大丈夫!体育館の舞台や、簡単に手に入る材料など、どんな学校にでもあるもので工夫するからこそ挑戦のしがいがあります。


いかがでしたか?
主体的に学べるPBLを目指して、PBL活動に少しずつ「ドラマエデュケーション」を導入してみてはいかがでしょうか?


ブリッジラーニングでは、PBL活動に組み込むことのできる「ドラマエデュケーション」の手法を学ぶ体験するワークショップを、7月29日、30日の二日間で行います。講師は、ドラマエデュケーションを長く実践されている、子ども創作舞台演出家むらまつひろこさんです。

PBLに限らず、様々な学びの活動を実践しているけれど、なかなか子どもたちが主体的ならない、盛り上がらないことにお悩みの先生にオススメの講座です。

ご興味を持たれましたら、こちらより詳細をご確認ください

投稿者: 山﨑 智仁

bridge learning主宰、一般社団法人 FutureEdu理事、慶應義塾大学SFC研究所 上席所員。 学びの研究と実践の両輪で走り続けるジェネレーター。人と社会の研究活動を続けながらも、特定非営利活動法人東京コミュニティスクールでの探究する学びの実践経験を活かし、教師の学びのコミュニティづくりに奔走する。

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