今話題のあたらしい教師のありかた “ジェネレーター” とは? ーブリッジラーニングの本棚 #3『ジェネレーター』

「学習者中心の学び」に関する本を、ご紹介する企画「ブリッジラーニングの本棚」

みんなが知っているあの本から、なかなか手が出ず読みきれないあの本まで、学びに深く関わる一冊を紹介していきます。

今回は、最近出版された一冊。市川 力、井庭 崇著『ジェネレーター ー学びと活動の生成』です。

「ジェネレーター」と聴くと、発電機やエンジンなど機械を思い浮かべたり、プログラミングをされている方だったら、関数を思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、この本で述べられているジェネレーターとは、文章中のことばをかりれば、
「目先の成果を追わず、つら楽しく生成し続ける場をつくるのがジェネレーター」であり、子どもたちの学びに関わる先生ももちろん、仕事や立場に関わらずすべての人が発揮することのできる役割を超えたありかたのことです。

本文中では、ジェネレーターファシリテーターを比較する形で、「ジェネレーターとはどのようなものか」を明らかにしていきます。

174ページの「教育場面におけるファシリテーターのマインドとジェネレーターのマインドの使い分け」の章では、下記のようにジェネレーターとその他の役割を切り分けています。


(ジェネレーターは)一緒に何かをつくりあげる仲間であることをがデフォルトであり、自分が知識を伝える必要があれば意識的にティーチャーになり、場の雰囲気がまずいなと思ったら一歩引いて意識的にファシリテーターになろうとふるまっているに過ぎない。

市川 力、井庭 崇著(2022)『ジェネレーター ー学びと活動の生成』学事出版 p.174より


昨今ではPBLや探究型学習、総合的な探究の時間において、先生が探究ファシリテーターとなることが重要視されはじめ、そのための講座もいくつか開かれているのですが、ファシリテーター自体もなかなか捉えることが難しいのではないでしょうか。

そこで今回は、私なりに様々な教師の役割を3つの観点からどう違うのか比較し整理してみました。その観点とは、「生徒との関わり」「ふるまいや行動」「目標・ゴール」です。

プロジェクト型学習や探究型学習では、発表会に向けて進捗を管理したり、アドバイスするマネージャーとして教師が生徒たちに関わったり、
生徒が自身のプロジェクトを推し進めるのを支援するコーチとして教師が関わることもあるでしょう。

しかし、ジェネレーターとしての教師は、
・知識を伝達するインストラクター
・進捗を管理するマネージャー
・場を取り仕切り交通整理するファシリテーター
・フィードバックと励ましをするコーチ
といったような、ある種、生徒たちを導くリーダーとしての役割を超えて、

自分自身が参加者のひとりとなって、身近なことを面白く捉え直す「面白がる」ことを一緒になってしてしまうことで、目標とはしていないものの創造の連鎖が自然に起きてしまう、ような役割を超えたありかたといえるのです。

ジェネレーターについてもっと詳しく知りた方は、『ジェネレーター』をお手に取ってみて下さい。

この本を読むと、ジェネレーターである市川 力さんと、井庭 崇さんと一緒にジェネレターの森をあてもなく歩く追体験をすることができるでしょう。

ブリッジラーニングの学習者中心の教育実践プログラムステップ2では、ジェネレーターである市川 力さんをゲストに、受講生の皆さんと一緒に「面白がる」ということについて考え対話いたします。もしご関心をお寄せの場合には、こちらからプログラムの詳細をご確認下さい。

投稿者: 山﨑 智仁

ブリッジラーニング主宰 | 一般社団法人 FutureEdu 理事 | 慶應義塾大学SFC研究所 上席所員 | 慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科 後期博士課程 学びの研究と実践の両輪で走り続けるジェネレーター。専門は認知心理学、学習科学、教育工学。2020年3月まで探究する学びを実践するマイクロスクール、特定非営利活動法人東京コミュニティスクールで初等部教員を務める。子どもたちと様々なテーマについて教科融合型で探究する学び「テーマ学習」を実践。また、学びのデジタル化やICTの学びのグランドデザイン、Google Classroomを活用した探究型学習のデジタル化及びテクノロジーを活用した業務効率化を推進し、2019年8月にはGoogle for Education認定イノベーターの一人に選出された。 慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科修士課程修了。修士(政策・メディア)

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