ブリッジラーニングの本棚 #1『センス・オブ・ワンダー』

「学習者中心の学び」に関する本を、毎週一冊をご紹介する新企画「ブリッジラーニングの本棚」

みんなが知っているあの本から、なかなか手が出ず読みきれないあの本まで、学びに深く関わる一冊をご紹介していきます。

1冊目は、レイチェル・カーソン著 『センス・オブ・ワンダー』です。

ふと、家の周りを散歩してみると、名も知らぬ草花が生き生きとしている。
ふと、立ち寄った公園で、ひらひらと美しく空中を舞う蝶に目を奪われる。

この「ふと」をキャッチする感性こそが、この本のテーマ「センス・オブ・ワンダー」です。

メイン州の美しい自然を小さいロジャーくんと一緒に探検したときに感じ取った「ふと」。彼との関わりの中でレイチェルの中に浮かんできた考えが、読者の私たちへ淡々と語りかけるようにまとめられています。


文中のことばをいくつか引用しながら、センス・オブ・ワンダーをご紹介しましょう。


子どもにとっても、どのように子どもを教育すべきか頭を悩ませている親にとっても、「知る」ことは「感じる」ことの半分も重要ではないと固く信じています。

レイチェル・カーソン著、上遠恵子訳『センス・オブ・ワンダー』新潮社 p.24より


「知る」ということに注目が置かれがちな教育ですが、たぶんその手前にある「感じる」こと、原体験することから「学び」は始まっていくのかもしれませんね。



子どもといっしょに自然を探検するということは、まわりにあるすべてのものに対するあなた自身の感受性にみがきをかけるということです。

レイチェル・カーソン著、上遠恵子訳『センス・オブ・ワンダー』新潮社 p.28より


そして、レイチェルは「子どもの発見を褒める」のではなく、自分自身もロジャーくんと「一緒に探検する」ことから、センス・オブ・ワンダーの高まりを、感じ取っていたのですね。



地球の美しさと神秘を感じとれる人は、科学者であろうとなかろうと、人生に飽きて疲れたり、孤独にさいなまれることはけっしてないでしょう。

レイチェル・カーソン著、上遠恵子訳『センス・オブ・ワンダー』新潮社 p.50 より


遠くへ旅することがはばかる今だからこそ、ご近所を「探検」してみれば、思いがけない発見に出逢うかもしれません。

ご近所の探検に行くその前に読みたい一冊です。


『センス・オブ・ワンダー』著者略歴

Rachel Louise Carson レイチェル・カーソン(1907 – 1964)

レイチェル・カーソンは工業化の進む時代、米国ペンシルベニア州の農村に生まれました。自然を大切にする父母との原体験と海へのあこがれから、彼女は生命の世界へと知的好奇心を羽ばたかせます。大学院を修了した後、漁業水産局に勤めるかたわら、「我らが海」などを執筆し、サイエンスジャーナリストとしても活躍。サイエンスジャーナリストとして独立し、晩年執筆したのが環境対策の重要さを訴える当時の大統領ジョン・F・ケネディのスピーチにも引用された『沈黙の春』です。殺虫剤DDTが環境に与えた深刻な悪影響を、データに基づき冷静に告発し、出版と同時に4万部も売れるベストセラーとなりました。


ブリッジラーニングでは学びに関心が高い方が集まり、世界の先端的な学校と学びにまつわる名著を対話して学ぶ「勉強会」を月に2回行っています。詳細が気になる方はこちらから。

『兆しと気づきの勉強会 – 名著と世界の先端事例から学ぶ』 

投稿者: 山﨑 智仁

bridge learning主宰、一般社団法人 FutureEdu理事、慶應義塾大学SFC研究所 上席所員。 学びの研究と実践の両輪で走り続けるジェネレーター。人と社会の研究活動を続けながらも、特定非営利活動法人東京コミュニティスクールでの探究する学びの実践経験を活かし、教師の学びのコミュニティづくりに奔走する。

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