気づく から 日常の一部 までの谷を越える。ブリッジラーニングの何が私に変化をもたらしたのか/甲南小学校 藤原かおり先生インタビュー第1弾

気づく から 日常の一部 までの谷を越える。
ブリッジラーニングの何が私に変化をもたらしたのか
甲南小学校 藤原かおり先生インタビュー 第1弾

ブリッジラーニングに出会った時には既に、学習者中心の学び実践のためには自身が変わらなければ、と気づかれていた藤原先生。ブリッジラーニングを通して、「こうしたい」と気付いている段階から、そう実践できる段階へと変化したことが、大きなターニングポイントになったのだとか。

インタビュー第1弾では、作り上げてきた教師像や恐れといった鎧が1枚ずつはがれていく様子、それを支えたブリッジラーニングのプログラムについて語っていただきました。

特に、苦手だった言葉にすることに向き合うと、同僚から応援されるようになったり、子どもたちにも「好きが伝わる」ようになったといいます。先生の在り方が変わると、子どもたちも同僚も変わる様子が鮮明に伝わるお話です。

※ (ひ)=聞き手 日出間真理子

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藤原 かおり

甲南小学校 教諭(音楽専科)

 大学時代に音楽療法を専攻し、音楽を通して人と関わる仕事がしたいと考える。
 教育実習を体験し、絶対に行きたくないと思っていた教職の道へ。講師として働きながら、小学校免許を取り、現任校で教諭として働き始める。その後、音楽専科となり、子どものやる気を誘う学習形態と場を工夫をすることを研究するため、大学院で『小学校音楽科における和太鼓指導の新しい展開〜和太鼓を用いた創作活動を中心として〜』を研究。
 現在も「学校でしかできない音楽の授業」を模索しながら、対話を軸として、子どものやる気を引き出す指導を研究中。

人にも自分にも「ちゃんと」を求めてしまう自分

(ひ) かおさんはよく「自分はべきべき人間だった」って仰っていましたよね。

そうなんです。子どもの頃から両親が教師ということもあって「ちゃんとしないと!」「〜すべきだ!」みたいな気持ちが強くて。教員になってからも、研修をたくさん受けてもっと良い先生になる!と気持ちばかり焦って空回りしていました。

そしてこのマインドは、周りの人や同僚、子どもたちにも求めちゃっていたところがあって。それって、周りも自分もしんどいんですよね。その内に、子どもがしんどそうにしていることがわかってきたんですよ。で、なんとかしたいって思い始めました。そうか、結局自分が変わらないと何も変わらないんだなっていうことに気づいたんです。

どうやって脱皮していったか

でもこの1年は、気持ちがすごく楽になってきました。ステップ2が、新学期前の3月にあったんですけど、ある意味、頭も心もぐちゃぐちゃにしていただいたからだと思います。ステップ1のときは鎧をこう1枚ずつはがしていただいてる状態だったんですけど、ステップ2の時は、今まで見ないでいた自分の中のマイナスの部分が結構見えてきて。それで「あ!しんどい。」「ということは、子どもたちもしんどい。」ということが見えてきたんです。

自分に向きあう。ストーリーテリングとジャーナリング

(ひ) ブリッジラーニングに出会った時にはもう、変わりたいって思い始めていたんですよね。
それでも、自分の内面に向き合うのってすごく怖いことだと思うんですけれど、何がかおさんの背中を押してくれたのでしょうか。

初回の「ストーリーテリング」がきっかけかなと思っています。あんな風に自分にスポットライトを浴びる機会はこれまでありませんでした。

私は話すのがすごく苦手で。でも「ストーリーテリング」では自分の中にあるものを直感で言葉にしてみてと言われて、すごく居心地の良い空間で、自分の考えや感情が自然に口から出てきたんです。終わった後には、いつも子どもたちの顔が浮かびました。この体験が自分の中で気持ちが良く、それからは自分の言った事をもう1回考えていくことが習慣になりました。

自分がその時に感じた色々な感情や考えたことは、このブリッジラーニングジャーナルに書きとめていました。私はブリッジラーニングに参加する前から授業だけでなく、子どもたちと関わる時は、『子どものために』『子どもが主役』と考えていたつもりだったんです。でも、自分の行動や発言を改めてふり返ってみると、できていないところがいっぱいあるなと気付きました。それと同時に、書き留めることで『これは悩まなくていいこと』『これは解決できること』といった感じに頭の中で少しずつ整理されていき、私が考えているよりもっと単純に考えてもいいのかもしれないと気付かされました。

ブリッジラーニングでジャーナリングの習慣ができてからは、何か問題を感じた時にとことん向き合うことができているように感じています。これまでは忙しいことを理由にしてなかなか向き合ってこなかったから。

「こんなに自分のことを考えたことはない、全部忙しさにかまけて後回しにしていた。」というのは、同じチームになった先生も仰っていました。きっかけをくれたのがブリッジラーニングですね。

弱さを見せられた。苦手にとことん向き合った協働プロジェクト

(ひ)自分にベクトルを向けて書き続けたかおさんの賜物ですね。
ブリッジラーニングでは、共に授業案を作ったり、先生同士で気付きを言語化し合ったりしますよね。それはかおさんにとってどんな体験でしたか?

自分自身の苦手なことに向き合いました。私は直感的に感じたことを言葉に表現していくことがとても苦手です。例えば、宿題のプロジェクト設計の作り込みの為にペアの先生とメッセージでやりとりをした時は、もうめちゃくちゃ言語化が必要でした。先生ってそれぞれ行動も子どもたちとの向き合い方も様々だから、この教科横断型のプロジェクトは互いに提案しながら譲り合いながらやつくりあげていくんです。そのやり取りが、私にとっては大きなチャレンジでした。自分のやりたいことや考えが上手く言葉にできなかったり、伝わらなかったりして、へこみましたね。「思っていることが伝えられてないやん、やばいやん。」って。

でも、ひでまりさんがよく仰るじゃないですか。『根っこで繋がる』って。リアルで会ったこともないし、環境も違うんだけれど、ブリッジラーニングでは他の参加者の皆さんと繋がれた気持ちがするんです。あの繋がりが、素直に自分に向き合う上でとても大きかったです。

そうそう、一番始めにコネクトトークを一緒にしたようこさんとは、勝手にねっこで繋がっている気がしています。私が話しながら色々なことを思い出して、わーって泣いてしまうと、ようこさんも一緒に泣いてくださって。サポーターのみをさんも一緒に3人で泣くというカオスな状態になりました笑。その時は、自分は様々なことを知らないうちにためこんでいたんだなって言葉にすることですごく実感しました。

(ひ) ブリッジラーニングってすごく泣く方が多いんですよね。泣かせるつもりないのに!笑

何回も言いますが、私は自分のことを話すのがとても苦手なんです。人の話を聞くのは好きなんですけど。職場の人や周りの人に弱いところを見せたり、悩みを人に言えなかったりしたんですが、それがこのブリッジラーニングでは言えたっていうのが大きかったです。

子どもも先生も保護者も地域も、みんなが幸せになるために

ブリッジラーニングは、先生が人として幸せになること、子どもたちだけじゃなくて、先生も保護者も地域もみんなが幸せになるためにということが根底にあるなって、参加者仲間ともよく話しています。私、研修が1日に何個もブッキングするぐらいに参加する中で、どハマりしてるのがブリッジラーニングなんです。コレ(手でゴマスリのジェスチャーをする)じゃないですよ。笑

以前の私は、うまく言葉にできずに伝えられなかった時、自分の苦手なことにただただ落ち込むだけでした。でも今は「言葉にすることが弱いんだったら、そこができるようになったら私最強やん!」って思っています。いつも全力で応援してくださり、あたたかい雰囲気をつくってくださるブリッジラーニングのみなさんが背中を押して、そんな風に思わせてくれたんだと思います。

今年は「それいいやん」と言われることが多い。会話の変化

(ひ) 日常の学校の中でも変化はありましたか?

そう!変わったんです!言い方も、話し方も。

ステップ2の最後の回で、設計したPBL授業を学年会議でアピールする設定の3分スピーチがありましたよね。賛同する仲間を集め、応援してもらうためにペアの人と2人でどんなスピーチが出来るかやってみよう、というやつ。あれがめちゃくちゃ生きています。

例えば音楽委員会を作ろうと提案する時に、説き伏せてやろうとかじゃなくて、応援してもらえるような言い方や言葉を考えるようになりました。それに、そこに至るまでにも先生1人1人と直接話をしていくとか。周りの先生方への見方や接し方が少しずつ変わりました。

研究授業の事後研の話し合いでも、これまでは私ちょっとずれてることを言ってるんじゃないかと発言することを躊躇することが多かったんです。多分、伝えることを怖がって、相手に対して壁を作っている部分があったんだと思います。その時の心情でパッと出た一言が、あまり良いワードを選んでいなかったこともあったと思います。でも今は、ここはこうしたらより良くなるんじゃないかとか、相手の大切にしたいことは何か?を考えながら、会話をするようになってきました。

(ひ) 同僚の方に対しても、児童に対してもですか?

伝え方には以前から気をつけているつもりだったんですけど、他の先生から「あれよかったやん」と声をかけられたり「いいじゃないですか」って賛同してもらえたりすることが、今年は多い気がします

ブリッジラーニングでは、物事も対人においても向き合い方っていうんですかね、見方を変えてもらったと思います。

(ひ) ゲストと対話する中で受け取るメッセージや、”コラボレーション” プログラムの根っこにある「相手の横に座って同じ方向を見る」といったメッセージを、すごく受け取って下さったんだなぁと感じます。

投稿者: 日出間 真理子

bridge learning主宰、一般社団法人 FutureEdu理事 人と人を深いところで繋げプロジェクトを生み出していく、現場大好き人間。NPO法人ETIC.で、社会起業家らの学び合いのコミュニティを企画運営する経験を活かし、日々挑戦する先生の意図を共に紡ぐ場作りをする。 どんな人も試行錯誤の中でまなび続ける力をもち自らの人生を切り拓いて欲しいと願うのは、鉄道会社で現場社員のリーダーシップを高める人事制度を作った時の経験から。Boston University教育大学院へ社会人留学して、教育の道へ転身した。一児の母。

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