気づく から 日常の一部 までの谷を越える。ブリッジラーニングの何が私に変化をもたらしたのか/甲南小学校 藤原かおり先生インタビュー第3弾

気づく から 日常の一部 までの谷を越える
ブリッジラーニングの何が私に変化をもたらしたのか
甲南小学校 藤原かおり先生インタビュー 第3弾

ブリッジラーニングに出会った時には既に、学習者中心の学び実践のためには自身が変わらなければ、と気づかれていた藤原先生。ブリッジラーニングを通して、「こうしたい」と気付いている段階から、そう実践できる段階へと変化したことが、大きなターニングポイントになったのだとか。

インタビュー第3弾では、「柔らかい自分に変化していく方がややこしいというか、時間がかかったり焦ったりすることも多い」と語りながらも、日々こういうのはどうだろうと試行錯誤を重ねた藤原先生の周りで、どのような変化が起きたのかをお伝えします。

1〜6年生まで様々な生徒が藤原先生を訪ねて放課後に遊びに来て、異学年で音楽を通して遊び、音楽の講堂が子どもたちの居場所のようになっている様子にはほっこりします。先生の在り方が変わると、生徒も変わる様子が鮮明に伝わるお話です。

〜第1弾はこちら〜
甲南小学校 藤原かおり先生インタビュー 第1弾

〜第2弾はこちら〜
甲南小学校 藤原かおり先生インタビュー 第2弾

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卒業生インタビュー第一弾:仲間と共に学ぶことはなぜ教員を成長させるのか? 聖学院中学校高等学校 佐藤充恵先生インタビュー(リンク)

藤原 かおり

甲南小学校 教諭(音楽専科)

 大学時代に音楽療法を専攻し、音楽を通して人と関わる仕事がしたいと考える。
 教育実習を体験し、絶対に行きたくないと思っていた教職の道へ。講師として働きながら、小学校免許を取り、現任校で教諭として働き始める。その後、音楽専科となり、子どものやる気を誘う学習形態と場を工夫をすることを研究するため、大学院で『小学校音楽科における和太鼓指導の新しい展開〜和太鼓を用いた創作活動を中心として〜』を研究。
 現在も「学校でしかできない音楽の授業」を模索しながら、対話を軸として、子どものやる気を引き出す指導を研究中。

※ (ひ)=聞き手 日出間真理子

240名分の「伸びしろ」を考えるのが楽しい

それをきっかけに、全校生分の「学びの主人公シート」を書くようになりました。

(ひ)本当ですか!ステップ1でやった学習者プロフィールの「学びの主人公シート」をですよね?!

毎回授業が終わったあと、一人一人の名前を書いたシートに、この子は今日何々をしていたとか全員分書いていますこの4月から。

(ひ)え、全校生徒って何人いるんですか?

360…あ、でも240です!2年生は私が音楽を教えてないので。本当に一言ですけどね!何か気になった事があったら書くようにしていて。この子と最近喋ってないなとか、1学期から忘れ物が続いてるな何かあったかなとか、入ってくる時あいさつ下向いてるなとか。あと技能面のことでは、リコーダーや歌で高い音が出たとか、困っていそうなことをカルテみたいに書いていますね。
無理なくできるのに、子どものことをめっちゃ考えるきっかけになっています

(ひ)先生なんかめっちゃ分厚いファイル持ち歩いているなぁ!って思われてません?笑

そう!だから子どもも知っていて、また書いてるわ先生って思っていると思います。「ちょっと待って!今書いてるねん、すぐ忘れちゃうから」とか言ってやり取りもしています。笑

ステップ1で出てきた「伸びしろ」、あれを考えるのって楽しいな〜と思います。この子こんな風にできるかもしれないっていうのをもっと信じてあげたい。ちょっとした会話とかの関わりから、その子の気になってることとか、優しさとかが分かりますよね。

異学年で音楽を通して遊んでいる

おませ女子とかには、髪型どう?大丈夫?とか聞いたらめっちゃアドバイスを言ってくれるようになりました。以前はつっけんどんな態度だったのですが、最近は「来たでー」とよく音楽室に顔を見せてくれて「あー!来たん?また?」って返しています笑

(ひ)休憩時間にみんな来て、1年生から6年生までその、異学年で遊んでるわけですよね、音楽を通して!

そうそうそう!いや、音楽かわからないですけど笑

でもめっちゃうるさいです笑。今はコロナの影響で、広い講堂で音楽の授業をしているんですけど、誰かがドラムセットをダラダラって打ってて、「今日何かストレス溜まってんの?」とか言って、そうかと思えばあっちではリコーダーぴー!って吹いているし、カスタネットも鳴っていて、もうなんか音が混在してむちゃくちゃです。

(ひ)真ん中にかおさんがいて、みんなかおさんに会いに来てたり、楽器触りに来てたり、いろいろなんだけど。余白時間を楽しんでるわけですね。めちゃくちゃ豊かですね

そう、何をするわけでもないですね。講堂って別の棟なんですけど、わざわざ遊びに来てくれるんです。でも去年とか一昨年までそんなことはなかったので。ひでまりさんとやまちゃんが私をオープンに開けてくださったからだと思います。

いると思って付けていたものを剥がしてもらった

プログラムごとに毎回、様々な教師としていると思ってかぶっていた鎧を剥がしてくださいました。きちんとしていることが大切とか、威厳のある先生でいるべきとか。私にとってはそんなプログラムな気がしますね。

(ひ)そういう変化を受け入れる準備のできている人と、まだ準備のできていない人がいらっしゃいます。かおさんは受け入れる準備ができていたのだと思います。

多分昔だったら、こうやった(突っぱねるようなジェスチャー)気がしますね。

(ひ)怖いじゃないですかやっぱり、変わるのって。

変わるのって怖い。今は大好きがすごい伝わってる

そうなんです、そうなんです。すごく怖い。柔らかい自分に変化していく方がややこしいというか、時間がかかったりぎゃーって戸惑うことも多いです怖い先生でいた方が統制が取りやすいっていうのもあるし。でもその分、今は子どもたちに大好きな気持ちが伝わっているように思います。

(ひ)そうですよね。大好きなことには変わりないんですもんね。

そう。以前は大好きが伝わりにくかった。子どものためにと言いながら何かに酔ってる自分がいました。

(ひ)NEW藤原かおりになったときに、子どもがどう反応するかってやってみないと分からないですよね。だから大抵の人は変化の蓋を開けるのが怖いし、自分の中で築いた自分のバランスを崩して作り直すことはとても大変です。

そうですよね。でもブリッジラーニングの第2回くらいまで受けたら、何か準備ができてくると思います。良くなってきている自分をわかっているから、私は信頼が生まれていました。なんかこんなに自分って伸びしろあんねんなって気づかせてもらいましたし。

(ひ)そんな風に言って頂いて嬉しいです。それはかおさんの受け取る力ですよ。ホントに。

大事なことは誰にも教われない

研修、私も好きで結構受けるんですけど。人として、先生としての教科以外の根っこの部分は誰にも教われないところだから、そこを気づかせてもらえる場って他にないなって思います。

「ちょっと皆さんー!聞いてー!ブリッジラーニングは素敵な空間で、みんなで成長し合っていける場所なんだよ!」って、声を大にして言いたいですよね。笑

(ひ)ありがとうございます。かおさんは言語化が苦手と仰っていましたが、もはやあてはまらないと思います!今日は具体例を混じえて分かりやすく体験を共有していただき、本当にありがとうございました!

いやでも本当ですから!自分の考えていることが言葉でうまく言えないですから!伝わっていますかね?でも、私の教師として人としての考えをガラッと変えていただいたブリッジラーニングには本当に感謝しています。

投稿者: 日出間 真理子

bridge learning主宰、一般社団法人 FutureEdu理事 人と人を深いところで繋げプロジェクトを生み出していく、現場大好き人間。NPO法人ETIC.で、社会起業家らの学び合いのコミュニティを企画運営する経験を活かし、日々挑戦する先生の意図を共に紡ぐ場作りをする。 どんな人も試行錯誤の中でまなび続ける力をもち自らの人生を切り拓いて欲しいと願うのは、鉄道会社で現場社員のリーダーシップを高める人事制度を作った時の経験から。Boston University教育大学院へ社会人留学して、教育の道へ転身した。一児の母。

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