「答えのない、VUCA(不安定、不確定、複雑そして不明確)」な時代、そして「年功序列や終身雇用のように約束された未来など到底ありえない」世の中が到来していることが、ニュースや新聞、インターネットで騒がれ、国連が世界に発信している持続可能な開発目標(SDGs)に代表されるような課題に取り組むべきであるという認識が広がりつつあります。
そして、世界的なパンデミックによって大きく変わってしまった2020年。
この緊急事態を予見していたかのように、現在日本では小学校から高等学校まで、学校教育のカリキュラムが大きく変わろうとしています。新たな時代に備える形で、改めて「生きる力」の大切さを打ち出し、主体的・対話的で深い学び(アクティブ・ラーニング)へのうねりが全国各地で生まれてきています。
しかし、多くの現場の先生方は日々の仕事に追われ、生徒一人ひとりとじっくり関わる時間を十分に取ることができないまま、忙殺される毎日を過ごしています。
その上、保護者のみならず、様々な業界からの教育への期待は高まるばかりで、理想や社会からの要請と、日々の実践との大きな隔たりに悩み、教室を去ってしまう先生が後をたたないのが現状です。
この様な厳しい状況において、私たちは一体どのようにすれば、この「理想」と「現実」のギャップを乗り越えていくことができるのでしょうか?
この問いに対し、私たちブリッジラーニングは、先生方が変化や成長を実感することができる「参加する先生方(学習者)中心」の学びの場をつくることにしました。
それは、よくある「教員研修」とは大きく異なります。
・「偉い先生の理論や経験談を聞く」講義型の研修
・「カリスマ講師がやる気を掘り起こして未来像を描く」自己啓発型の研修
・「最新の方法論を練習して身につける」訓練型の研修
など、先生や教室の多様性と現実を反映しない研修ではこのギャップを埋めることは叶いません。
ブリッジラーニングは、思考せずに「理想形」に飛びつくのではなく、先生方が教育現場・教室での日々の実践に根を下ろし、自分らしく幹や枝葉を伸ばし続けていくための、自律的に学ぶ思考スキルやマインドセットを仲間と共に身につけていくプログラムです。
そこでは、先生自身が主体的・対話的で深い学び(アクティブ・ラーニング)にじっくりと浸かり、その根底にある「学習者中心の学び」の考え方を体得していきます。
「学習者中心の学び」とは、「仮に小さい子どもであったとしても、頭の中は白紙ではなく、たくさんのことを既に知っている」ために、
「既にある知識を基にして、学習者が自ら知識を発展・更新させていく」学びのありかたです。
これは、ヒトの学びの科学から生まれた、教科学習にも教科融合型の学習にも、知識伝達型の授業にもプロジェクト型学習 (PBL) にも、ありとあらゆる全ての学びに通底する考え方です。
先生方が、この「学習者中心の学び」の実践への橋を渡るために、私たちは具体的に以下の3つを提供します。
1.実践への客観的な視点
先生方は、プログラムの中で、自らの日々の実践から「一歩」踏み出すための、「振り返りと挑戦」を奨励する「リフレクティブカルチャー(振り返りの文化)」の中で、実践への新たな視点を獲得します。
2.多様な学びの選択肢
そして、自らの実践を振り返ることで明確になってきた「次の一歩」を踏み出すときに、必要となる知恵やスキルを、仲間と試行錯誤をしていく中で学びます。
3.支援しあえる学びの共同体
さらに、プログラムが終わったあとも学び合った仲間たちとつながり続け、対話と挑戦を支援しあうブリッジラーニングコミュニティの仲間入りを果たします。
そして、私たちはブリッジラーニングを通じて、その名前の如く「学習者中心の学び」へのブリッジをお手伝いし、
全ての人が垣根を超えて対等に、自分らしさを発揮しながら
イキイキ・ワクワク・ジワジワと学ぶ機会を得られる社会
の実現を目指します。
私たちは、多様な学びを生み出すコミュニティと研修プログラムで、目指すビジョンへと一歩目を踏み出しました。
そして、テクノロジーを活用し、先生方の学びコミュニティを広げながらも深化させるため、二歩目三歩目と歩み続けてゆきます。
志をともにする皆さんと共に、学びの新たな地平線を目指していくことを心から楽しみにしています!
ブリッジラーニング
竹村詠美、日出間真理子、山﨑智仁、小林英恵、ラコー華恵
(文責:山﨑)
次回は、ブリッジラーニングのプログラムの詳細をお伝えしていきます。

ブリッジラーニングでは、先生方が学び合いを通じて「学習者中心の学び」の実践力をつける講座や勉強会を開催しています。